生命の捏造 〜花さかせるために そして こんなにたくさん咲かせた〜 より たぶん目覚めの前だろう 腰の割れ目がひろがって 青い芽が一本伸びていた 歯みがきしていた妹が あぶく声で教えてくれた 「にいちゃん、芽!」 言われるまで知らなかった 昼過ぎ頃に青い芽は 随分な高さに伸びていた 仕事に行くのはやめにして 色変りする芽の先っぽを 仰向けになって眺めていた 明日朝僕はつぼみになって 赤くたくさん咲くだろう 妹たちと波にゆれながら 水のそこにしぼんだ白い 昨日の僕を見おろすだろう そういえばはるかむかし 双子の妹と波に揺れながら そんな夢を見たように思う |
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