<生命の捏造> 展 −ハイパー人工クラゲは2重螺旋(DNA)階段の夢を見るか?− 20世紀は良くも悪くもサイエンスが人類を変えた時代でした。 幕を開けたばかりの21世紀もやはりサイエンスが、 なかでも分子生物学が牽引していく気配が濃厚です。 アルジャーノン(注)を作ることが善か悪かという議論を越えて、 アルジャーノンは様々な形で既にこの世界に存在しています。 私たちは生きているうちに、より美しく見開かれた瞳や、 より明晰に働くスーパー頭脳の遺伝子を、 自ら選択して身につける時代が来るのかもしれません。 いやおそらくこんな話は今に限ったことではないのでしょう。 私たちの祖先が鱗をまとって海から上がってきた頃は、 いつの日にか、その硬いウロコを脱ぎ捨てて、 すべすべとした肌を風にさらすことなど想像もしなかったように。 私たちはDNAのスイッチをかけかえながら、 未来への2重螺旋階段を駆け上っていく存在なのです。 遠い未来、私たちは鏡にうつるどんな顔を美しいと思い、 何を悲しみと感じて生きていくのでしょう。 ある日の休日、ひとつの風景。 もはや支えきれない重たい脳を、バルーンで浮かせた私たちの子孫は、 癒しの歌を歌う空中浮遊クラゲを肩先に漂わせながら、 アルジャーノンの是非で揺れていたセンチメンタルな時代を、 遥かかなたに思いやるのでしょうか。 |
「生命の捏造展」コンセプト・デザイン 奥田エイメイ |
(注)アルジャーノン ダニエル・キイスの小説「アルジャーノンに花束を」より 脳の操作により天才ネズミ<アルジャーノン>を作り出した医師をとりまく人々の悲喜劇 |
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